PAGETOP
HOME > NMR討論会 > チュートリアルコース
Last Update : 2017.05.25 

NMR討論会開催記録

チュートリアルコースの記録

2016年11月15日(火)、広島

フーリエ変換を工夫してNMRスペクトルをよみがえらせる
池上 貴久(横浜市立大学)

同じ測定データでも、どのようにフーリエ変換するかによって、スペクトルに大きな違いが生じることがあります。もちろん、プロセス法も考えておいたうえで測定パラメータを設定するのがよいのですが、もし間違えて測定してしまったとしても、フーリエ変換をなんとか工夫することによって、そのミスを少しでもカバーできればそれに越したことはありません。今回はプロセス用パラメータをブラックボックスとして使ってしまっているNMR初心者を対象に、プロセス法における工夫や個々の基本的なパラメータの意味について、できるだけ詳しく紹介したいと思います。

四極子核固体NMR法の基礎の基礎
山田 和彦(高知大学)

ほとんど全ての元素は固有の核スピン(I)を有する安定同位体を含んでいる。従って、原理的には周期表上のほとんどの元素がNMR測定の対象になるはずである。また、その八割程度は四極子核と呼ばれるI ≧ 1の核種であり、四極子モーメントを有している。そのため、周囲の電荷が創出する電場勾配と四極子モーメントの間で、核四極相互作用と呼ばれる静電的な核スピン相互作用が生じる。概して、NMRユーザーは1Hや13CなどI = 1/2の核種を測定対象とすることが多く、四極子核NMRを使用する機会は少ないかもしれない。これは、化学シフト相互作用や双極子−双極子相互作用などに比べて、核四極相互作用は線形に与える影響が大きいため、線幅が広がることを反映した結果と思われる。しかしながら、近年の技術的な進歩に伴って、それら難易度は確実に下がっており、NMR測定が可能な四極子核が増えてきた。そして、NMR法を応用できる研究分野は確実に広がってきている。このような背景から、従来からのNMRユーザーのみならず、これからNMR法を活用する研究者においても、四極子核を測定対象とするNMR法への関心が高まってきている(と思われる)。本講演では、これから四極子核NMRに挑戦するユーザーを対象に、四極子核NMRの基礎的理論やバックグランドを概説し、四極子核の代表格(核?)である酸素(17O)NMRを実例として、スペクトル解析の重要性について説明する。

NMRを創った人たち:第1話 夜明け前
1. SternとGerlach―偶然はいかに彼らに微笑んだか

寺尾 武彦(京都大学)

教科書では、長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、学問が創られた背景には、様々な味わい深い物語がある。研究対象の選択や鍵となるアイデアの着想の経緯、あるいは回り道やつまずきなど創造の過程で辿った軌跡を知ることは、学問を創る側に立とうとしている若い人々にとって素晴らしい財産となろう。研究を行なった本人の人物像、研究が行なわれた時代背景、研究環境、周辺の人々などもまた創造の物語を構成する重要な要素である。本講演では、時代を画した研究を行った人物にスポットを当て、可能な限りその研究が行われた現場を蘇らせる。その試みが研究者として歩みだした若い人たちにとって一つの道標になれば幸いである。今回は角運動量の方向量子化を発見し、陽子などの磁気能率を初めて測定してNMRが出現する土壌を培った先人の物語を話す。


2015年11月5日(木)、千葉

NMR 教科書のここがよく分からない
池上 貴久(横浜市立大学)

初学者は講義や教科書を通して NMR を学んでいきますが、そこに書かれた何気ない記述でつまづいてしまうことが多いです。例えば「溶液 NMR では、分子の回転拡散によりこのような dipolar 相互作用が平均化されて、ピークがシャープになる」などの記述です。「拡散がなぜ回転するの?平均化とは?なぜシャープになるの?product-operator のプロダクト(直積)って何?」このような疑問が学習の進行をそこで妨げているかもしれません。一方、熟練者の中にも、分からないままに放置して長い時を経てしまい、ある時に逆に初心者から尋ねられてドキッとする方がいるかもしれません。あるいは、「(3*cos^2(Θ)-1) を積分したら0になるでしょ」のような説明で済ましてしまっているかもしれません。今回はこのようなよく分からない教科書の記述を何点か採り上げ、これらをいつものように図で理解することを目指したいと思います。

固体NMRによる生体分子構造解析の最近の展開
川村 出(横浜国立大学)

固体NMR分光法は高分子や固体材料など幅広い分野で活躍している。近年、細胞膜中に存在する膜タンパク質やアミロイド線維など難解な生体分子について固体NMRを利用した構造決定の研究がいくつか成され、固体NMRによるプロテインデータバンク(PDB)への登録数も増加している。このような研究を支える測定技術と合わせて、具体的な最新の研究例を紹介し、解説する。

NMRはいかに創られたか: 9. MRI を中心に
寺尾 武彦 (京都大学)

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの方法論の研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエソードを交えて話す。若い方々が話を通じて優れた科学者の研究に取り組む姿勢や学問に対する情熱を学んで頂ければ幸いである。今回はMRIを中心に話す予定である。


2014年11月3日(月)、大阪

NMR法を基軸とした論文執筆
菊地 淳(理化学研究所)

世界人口急増の反面、超高齢化社会が形骸化しつつある足元を省みて、本コースへの参加者には難解なNMRの世界を勉強しても、将来にわたって持続的に利用できるか不安な人々がいるかもしれない。一方で学術論文を受理させ足元を固めていけば、学位取得、就職、転職、グラント獲得、あわよくば更にPI等での後進指導へと結びつき、こうした”NMRを基軸とした“人材の持続性が本学会の興隆をも左右するであろう。本講演では蛋白質・代謝物群・バイオマス・環境試料へとNMRを基軸とした論文執筆を続け、自らの職を切り拓いてきた演者の体験を基に、着想・行動・文書化の三要素関係の重要性を述べたい。結論から言えば将来の不安は実績の蓄積で解消され、また当人さえ予期せぬ未来も拓かれる。現状では研究者の実績評価軸は学術論文に重きがあり、良い文書は死後においても無形財産として評価され得る。その論文執筆において最も重要な段階は多様な論文との出会いでもあり、良い出会いが動機と着想を育み、重い腰を上げ、数多くの失敗を乗り越えた際には他者に報告(論文化)せずにはいられなくなる。

溶液NMR実験をデザインする楽しさ
竹内 恒(産業技術総合研究所)

NMRの魅力は、実験の目的に合わせてサンプルを安定同位体標識する段階から、標識に合わせたNMR実験の実施、測定後の処理に至るまで多くの自由度があり、様々な工夫が可能な点にあると思います。ここではそのような工夫を行った実例と応用例をいくつかお示ししながら、NMR実験をデザインする楽しさ、有効性をお伝えすることが出来ればと思っています。

NMRを1万倍高感度化する技術:DNP 〜その基礎原理から最新の応用研究まで〜
根来 誠(大阪大学)

動的核偏極(DNP: Dynamic Nuclear Polarization)は、誕生から60年かけてじっくりと発展を遂げた。現在では様々な試料において、極低温下でDNPを行うことで、通常のNMR分 光やMRIに 比べて一万倍程度高感度な測定が可能である。具体的には、ポリマー、リゾチーム、膜たんぱく質、ウイルス、薬品、アミロイド生成性ナノ結晶などの高感度分析、細孔物質の界面解析などへと適用されている。また、高偏極化した物質を溶かして体内に注射することで代謝イメージング、pHイ メージングが可能で、がん治療の効果判定にも応用されている。本講演では、DNPの 基礎原理について説明し、技術的側面における歴史的経緯に沿って上記の応用を紹介していく。また、試料を室温に保ったまま一万倍以上の高感度化が可能となる「トリプレットDNP」 の進展についても紹介する。

NMRはいかに創られたか: 8. 二次元FT-NMR
寺尾 武彦 先生 (京都大学 名誉教授)

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの方法論の研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエソードを交えて話す。若い方々が話を通じて優れた科学者の研究に取り組む姿勢や学問に対する情熱を学んで頂ければ幸いである。今回は二次元FT-NMRについて話す予定である。


2013年11月11日(月)、金沢

メチル基を通して巨大な分子を観る
池上 貴久(大阪大学蛋白質研究所 准教授)

たとえTROSY-CRIPTなどの測定法を使っても、蛋白質主鎖のアミド基ではもはや観測できないような大きな分子量を対象とすることに挑 戦がなされている。その鍵はメチル基を観ることである。一般的にメチル基は、その軸で速く回転し、さらに3つの1Hスピンの化学シフト値が重 なることのために感度が他の基よりも高くなることはよく知られていた。近年、それに加えて交差相関の働きにより、さらに横緩和が遅くなってい ることも実証され、Methyl-TROSYの名で知られるようになった。この現象を利用すると、巨大分子どうしの相互作用だけでなく、その 側鎖のダイナミクスも分かり、また、必ずしも帰属をしなくても、巨大な蛋白質のアロステリック効果に伴う構造変化なども追うことができるようになった。ここでは、それらの実験例とその原理について紹介したい。

NMRおよびGIPAW計算を用いた有機EL、有機太陽電池の解析
梶 弘典(京都大学化学研究所 教授)

NMRが、他の解析手法では得ることが困難なユニークかつ重要な情報を与えてくれることは、本学会の皆様はよくご存知のことと思う。本チュー トリアルでは、NMRを有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、有機太陽電池といった有機デバイスの解析に応用した例を紹介する。また、 最近、分子間相互作用を考慮した化学シフトの計算が可能となってきた。GIPAWと呼ばれるこの手法の応用例に関しても紹介したい。

NMRはいかに創られたか: 7. フーリエ変換NMR
寺尾 武彦(京都大学 名誉教授)

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗 と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの方法論の研究にスポットを当て、どのような時代背景 の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエ ソードを交えて話す。若い方々が話を通じて優れた科学者の研究に取り組む姿勢や学問に対する情熱を学んで頂ければ幸いである。今回はフーリエ 変換NMRについて話す予定である。


2012年11月7日、名古屋

2次元NMR:フ−リエ変換と共分散
竹腰 清乃理(京都大学大学院理学研究科 教授)

とある分子のNMR信号の帰属や合成高分子の単量体や生体高分子のアミノ酸・核酸の連鎖(2次元構造)から分子の3次元構造の決定、さらには、分子の運動やイメージングにと多次元NMR法の役割は大きい。本講義では、2次元交換NMR法を題材に、基礎原理と方法を解説する。また、発展として、その代表的な処理法であるフ−リエ変換と近年提案されてそのメリットが実感されつつある共分散法について比較紹介する。

MRIの基礎
巨瀬 勝美(筑波大学大学院数理物質科学研究科 教授)

MRIの開発により、NMRの測定対象は、溶液や固体試料などの試験管に入った試料から、構造を持った任意の形状を有する試料(生体など)へと大きく拡大した。そして、それまでの分子構造などに関する情報から、生体の解剖学的構造や、疾患等に伴う化学的・物理的な変化の空間的構造など、従来のNMR手法ではアクセスできない空間的情報も得ることができるようになった。また、MRIによる医用診断は、医療では不可欠なものとなっており、装置販売の市場だけでも、世界で年間3000億円を超えている。本稿では、MRIの一般的な紹介ではなく、NMR分光計を使用している研究者がMRIを始めるときに必要な知識などを中心に、MRIの解説を行う。

NMRはいかに創られたか: 6. 固体高分解能NMRその2
寺尾 武彦(京都大学 名誉教授)

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの方法論の研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエソードを交えて話す。若い方々が話を通じて優れた科学者の研究に取り組む姿勢や学問に対する情熱を学んで頂ければ幸いである。今回は昨年に引き続き固体高分解能NMRについて話す予定である。

2011年11月15日、横浜

図で見る新しいNMR手法の原理
池上 貴久(大阪大学蛋白質研究所)

この15年間に、さまざまなNMRの手法が開発され、解析に使われてきた。例えば、残余双極子相互作用RDC(残余化学シフト異方性)、常磁性緩和PRE、常磁性シフト(pseudo-)contact-shift、アミドやメチルTROSY、交差相関緩和CCR、緩和分散法relaxation-dispersion、高速測定法(non-uniform-sampling, projection-NMR, single-scan-NMRなど)とMEMなどのプロセス法、動的核分極法DNP、saturation-transfer法などが挙げられる。その中には、もはや新規とは思えない程に日常の解析に多用されている方法もあるが、日頃の忙しさに邪魔され、その物理的な原理までをも勉強するのはなかなか難しい。ここでは、出来るだけ数式を使わずに、「イメージ」でその原理をとらえ、今後のより深い理解の端緒となるようにしたい。

天然物有機化学におけるNMR
松森 信明(大阪大学大学院理学研究科 准教授)

タンパク質のNMR解析といえば主に立体配座解析であるが、天然有機化合物のNMR解析では、平面構造の決定、ついで立体配置の決定へと進み、最後にオプションとして立体配座解析が来る。平面構造の決定はほぼルーチン化しているが、NMRによる立体配置決定は今でも容易ではない。そこで今回のチュートリアルコースでは、NMRによる天然有機化合物の立体配置決定について主に解説する。相対立体配置の決定法には、我々の報告したJ-based configuration analysis法やハーバード大の岸教授らによるuniversal NMR database法がある。また、ご存知の方も多いかもしれないが、絶対立体配置決定法として、楠見教授らによる新モッシャー法を紹介する。さらに時間があれば、膜作用性天然有機化合物について、バイセルを用いた膜環境下での立体配座解析についても紹介したい。

NMRはいかに創られたか: 5. 固体高分解能NMRその1
寺尾 武彦(京都大学 名誉教授)

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの方法論の研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエソードを交えて話す。若い方々が話を通じて優れた科学者の研究に取り組む姿勢や学問に対する情熱を学んで頂ければ幸いである。 今回は固体高分解能NMRのうち特にcross polarization法について話す予定である。


2010年11月14日、東京

溶液NMR解析技術:基礎から最新技術まで
伊藤 隆(首都大学東京大学院理工学研究科 教授)

溶液NMRの方法論の進歩と成熟に伴って、私たちがNMR解析を行うために必要な知識は少しずつ変化している。今回のチュートリアルコースでは、今NMRをはじめる研究者の立場に立ち、生体高分子の解析を例にとって、まず溶液NMR解析技術(試料調製から高次構造解析等まで)の現状を概説し、必要とされる基礎知識を紹介したい。次に、最近注目を集めている新たなトピックやNMR討論会で実際に発表される演題から興味深いものを何点か取り上げ、わかりやすく紹介したい。

固体NMR最新手法の基礎と応用
内藤 晶(横浜国立大学大学院 工学研究院 教授)

固体NMRの手法は、溶液状態ではなく、異方的な相互作用が支配的な系や状態に対して有効である。すなわち、固体材料や高分子の物性研究、生体高分子の構造機能相関の研究に応用が広がっている。この固体NMRの最新の手法について理論的背景からその応用にわたる範囲を実際の研究例に基づいて解説する。具体的には「静止試料の磁気相互作用の解析」「MAS試料の磁気相互作用の解析」「原子間距離測定」「各種固体多次元NMR」の内容に関する最近の技術の進歩を取り上げて、固体NMR分光法の基礎から応用にわたる実験法を、具体的な研究例を紹介しながら解説する。

NMRはいかに創られたか: 4. パルスNMR法の出現
寺尾 武彦(京都大学 名誉教授)

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMR の研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して 研究を完成させたかを人間的なエピソードを交えて話す。今回は Hahnにまつわる話を中心にパルスNMR法の出現に焦点を当てる。若い方々が話を通じて科学するということがどういうことなのかを感じ取って頂 ければ幸いである。


2009年11月9日、福岡

基礎から理解する溶液NMRの最新技術
廣明 秀一(神戸大学大学院医学研究科 特命教授)

NMRの魅力は、理論自体はかなり古くに完成されているにもかかわらず、方法論としてはいまだに完成されたものではなく、毎年何らかの進歩と発見が見られることである。本セミナーでは、まずNMR初学者やNMRを使い始めた別分野の研究者ために、NMRの基礎と溶液NMR法の持つ特徴を概説し、その後、近年注目を集めている以下のトピックについてなるべくわかりやすく紹介する。
(1) sofast-NMR / best-NMR、(2) in-cell NMR、(3) NMR metabolomics、(4) LC-NMR

固体NMRの方法
藤原 敏道(大阪大学 蛋白質研究所 教授)

分子運動性が制約されている固体状態の試料に適用するNMR法とその分子構造解析への応用について解説する。内容としては、固体状態における核磁気相互作用の特徴、試料回転やラジオ波磁場の変調を用いた相互作用の制御など実験技術、スペクトルから得られる分子構造や運動性についての情報、データ解析法、さらに同位体試料の調製法などを紹介する。これらのことを、タンパク質など生体分子系などへの最近の応用例をまじえて示す。これらを通じて固体NMR法の特長、ユニークさ、課題、将来について言及する。

NMRはいかに創られたか: 3. 誕生から新たな展開へ
寺尾 武彦(京都大学 名誉教授)

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの血と汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエピソードを交えて話す。今回は PurcellらによるNMRの発見とパルスNMR法の出現に焦点を当てる。若い方々が話を通じて科学するということがどういうことなのかを感じ取って頂ければ幸いである。


2008年11月11日、つくば

児嶋 長次郎「溶液NMRの最新技術」

溶液NMRの基盤技術の中で最近急激に進歩しているものを選び、基礎から最先端技術(最新論文)までを概説します。また、NMR討論会で実際に発表される演題から興味深いものを何件か取り上げ、そのバックグラウンドと研究内容を簡単に紹介します。現時点で予定している内容は以下のようなものです。「最新ハードウエアの動向」「溶液条件下での感度増強法」「超分子の溶液NMR技術」「NMRサンプルの調製法―パラ水素標識と安定同位体標識」。これら以外にも可能な限り新しいNMR技術を紹介します。

内藤 晶 「固体NMR最新手法の基礎と応用」

固体NMR分光法は固体材料や高分子の物性研究、さらには生体分子の構造や運動性の決定に広く使われている。この最近の固体NMR手法について理論的背景からその応用にわたる範囲を実際の研究例を紹介して解説する。具体的には「静止試料の磁気相互作用の解析」「MAS試料の磁気相互作用の解析」「原子間距離測定」「各種固体二次元NMR」の内容をカバーする最近の生体関連分子に関する研究論文を取り上げて固体NMR分光法の基礎から応用にわたる項目を研究例を紹介しながら解説する。

寺尾 武彦 「NMRはいかに創られたか: 2. NMRの誕生」

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果を簡潔に整理し、系統的に淡々と記述されている。しかし、その裏には先人たちの血のにじむ ような努力やフィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう教育 ・研究歴を持った人物が何をきっかけに歴史的な発想を得て、どんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエピソードを交えて話す。今回はBlochらおよびPurcellらによるNMRの発見に焦点を当てる。若い方々が話を通じて科学を研究するということはどういうことなのか を感じ取って頂ければ幸いである。


2007年9月10日、札幌

児嶋 長次郎「溶液NMRの最新基盤技術」

溶液NMRの基盤技術のうち最近急激に進歩しているものを選び、基礎から最先端技術(最新論文)までを概説します。現時点で予定している内容は、以下のようなものです。「最新ハードウエアの動向」「周波数スペクトルを得るためのデジタルデータ処理の基礎」「多次元NMR高速測定法のすべて」「NMRサンプルの調製法―タンパク質の選択標識を中心に」
他にNMR討論会で実際に発表される演題から興味深いものを何件か取り上げ、そのバックグラウンドと研究内容を簡単に紹介します。

池上 貴久 「溶液NMRの最新技術の生体分子への応用」

現在のところ、ご紹介する予定としての研究題材は、以下のようなものです。「遅い運動性を検出するための緩和速度の解析」「残余双極子相互作用のさらなる展開」「回転拡散の異方性によるドメイン間の相対配置(運動)の決定」「常磁性金属を利用しての構造の動的性質の検出」「交差相関緩和による相互作用する交換系での二面角度情報の取得」「スピン状態選択的磁化移動(TROSY)の発展」
また、NMR討論会で実際に発表される演題から興味深いものを何点か取り上げ、ご紹介したいと思います。昨年度は「難解」であったという感想を踏まえ、今回は院生も対象とすることを想定し、いずれの題材も、最初に簡単な原理の解説を、後にその応用例としての論文をご紹介します。(まだ予定ゆえ、多少の変更につきましては、ご容赦ください)。

寺尾 武彦 「NMRはいかに創られたか」

教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果を簡潔に整理し、系統的に淡々と記述されている。しかし、その裏には先人たちの血のにじむような努力や映画顔負けのドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう教育・研究歴を持った人物が何をきっかけに歴史的な発想を得て、どのような困難に出くわしてどのように解決して研究を完成させたかを可能な限り掘り起こし、人間的なエピソードを含めて述べる予定である。今回はNMRの発見前後に焦点を当てる。若い方々が話しの中から“科学する”ということはどういうことなのかを感じ取って頂ければ幸いである。


2006年11月21日、京都

『NMRの最先端』

寺尾 武彦「NMRの高感度化」
竹腰清乃理「固体高分解能NMR」
瀬尾 芳輝「MRI」
菊地 淳「in vivo NMRとメタボミクス」
三島 正規「構造生物学における溶液NMR」
池上 貴久「溶液NMRの新技術」