チュートリアルコース

チュートリアルコース

本コースについて

好評を得ているチュートリアルコースを、本年も討論会に先立ち開催します。
今年度は3名の先生方にレビューして頂く予定です。
学生・若手研究者を主な対象としていますが、一般の方の参加も歓迎します。参加費は無料です。


概要

日時 2015年11月5日(木) 13:00〜18:00(受付12:30〜)
会場 千葉工業大学 津田沼キャンパス 4号館3階 431講義室(受付 431講義室前)
講師 池上 貴久 先生 (横浜市立大学)
川村  出 先生 (横浜国立大学)
寺尾 武彦 先生 (京都大学名誉教授)

※チュートリアルコースの参加登録は締め切りました。


プログラム

時間 プログラム内容
13:00〜14:30
池上 貴久 先生 (横浜市立大学 教授)
NMR 教科書のここがよく分からない
初学者は講義や教科書を通して NMR を学んでいきますが、そこに書かれた何気ない記述でつまづいてしまうことが多いです。例えば「溶液 NMR では、分子の回転拡散によりこのような dipolar 相互作用が平均化されて、ピークがシャープになる」などの記述です。「拡散がなぜ回転するの?平均化とは?なぜシャープになるの?product-operator のプロダクト(直積)って何?」このような疑問が学習の進行をそこで妨げているかもしれません。一方、熟練者の中にも、分からないままに放置して長い時を経てしまい、ある時に逆に初心者から尋ねられてドキッとする方がいるかもしれません。あるいは、「(3*cos^2(Θ)-1) を積分したら0になるでしょ」のような説明で済ましてしまっているかもしれません。今回はこのようなよく分からない教科書の記述を何点か採り上げ、これらをいつものように図で理解することを目指したいと思います。
14:40〜16:10
川村 出 先生 (横浜国立大学 准教授)
固体NMRによる生体分子構造解析の最近の展開
固体NMR分光法は高分子や固体材料など幅広い分野で活躍している。近年、細胞膜中に存在する膜タンパク質やアミロイド線維など難解な生体分子について固体NMRを利用した構造決定の研究がいくつか成され、固体NMRによるプロテインデータバンク(PDB)への登録数も増加している。このような研究を支える測定技術と合わせて、具体的な最新の研究例を紹介し、解説する。
16:20〜17:50
寺尾 武彦 先生 (京都大学 名誉教授)
NMRはいかに創られたか: 9. MRI を中心に
教科書では長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されている。しかし、その行間には先人たちの汗と涙がにじみ、フィクションを超えるドラマが潜んでいる。本講演では時代を画したNMRの方法論の研究にスポットを当て、どのような時代背景の下でどういう人物が何をきっかけに歴史的な発想を得たのか、またどんな困難に出くわしてそれをどう解決して研究を完成させたかを人間的なエソードを交えて話す。若い方々が話を通じて優れた科学者の研究に取り組む姿勢や学問に対する情熱を学んで頂ければ幸いである。今回はMRIを中心に話す予定である。